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by 鳥越 雅子
永遠の4分間
20代の頃から放送の仕事に携わってきた私は、経験を積んではいても緊張に馴れるということはなく常に気を張っている状態で毎日の業務にあたっていました。
数年前まで勤務していたラジオ局ではニュースを担当し、時事ネタから地域の情報、季節ネタや天気まで記事をピックアップして、各番組のニュース枠になると生放送のスタジオに入り、番組DJさんの向かいに座って最新ニュースをお伝えする。
与えられた時間は、4分ほど。
その4分に収まるように記事をリライトし、マイクの前で原稿を読みながら残り時間を計算し枠内に収める。生放送のプレッシャーから、失敗しちゃいけない、うまく読まないといけないと苦しくなりながらの4分は本当に永遠でした。
途中で逃げ出したいと思ったこともありました。
ほんの4分ですが、あまりの緊張から呼吸が浅くなり意識が遠のきそうになったことも何度かあります。自分自身の心のコントロールが難しく、それが後にヨガとの出会いへ繋がることに。
当時、私はフィギュアスケートのファンで(私だけじゃなく、日本中の多くの人がファンでしたね!)浅田真央ちゃんがリンクに立つたびに注目していました。
スケート靴から音楽が流れ出ているような、彼女の軽やかで華やかなスケーティングが大好きで、不器用ながらも、ひたむきに取り組む姿に何度も感動したものです。

自分を褒めること
彼女のジャンプの成功を固唾を飲んで見守り一喜一憂して、まるで親戚の子を応援するような、そんな近い気持ちで見ていました。
その時、気が付いたんです。
フィギュアの女子フリースケーティングも4分間なのです。
そう、私が担当していたニュース枠とほぼ同じ時間。
真央ちゃんはトリプルアクセルが失敗してしまっても、どんなに転んでしまっても、その4分間を滑りきる。決してリンクから立ち去ることはしない。今の自分としっかり向き合い、やるべきことを全うする。
ああ、そうだ。同じだと。彼女の姿に大きな刺激を受け、私も自分に与えられた役割を責任を持ってしっかりと果たそうと考えるようになりました。
彼女がトリプルアクセルを飛ぶ瞬間、「できる!」「飛べる!」と、私は画面の中の彼女に強く念じます。そして着地が成功すると自分のことのように喜び嬉しくなります。
そして、4分間の演技を終えた彼女の誇らしい姿に感動します。
私も、自分に「できる!」と声をかけてあげよう。そう思うようになったんです。
そして、しっかりと役割を務めた後には「よくやったね、がんばったね、大丈夫だよ」と自分を褒めてあげるようにしました。
友人や大切な人、他人のことは全力で応援できるのに、いざ自分のこととなると、どうですか?ちゃんと応援してあげてますか?
そして、できた時には褒めてあげていますか?
大切な自分のこと。
毎日がんばっている自分のこと。
できた時はもちろんのこと、ちょっと失敗しちゃった時にも、
それまで頑張った自分を認めて、ちゃんと褒めてあげましょう!!
Frau EDU フラウエデュ
フリーアナウンサー鳥越雅子